非オタ系汽車旅研究所
Vol.9 JR北海道問題が示す鉄道のあり方
 
 JR北海道がローカル線を維持できないと言うことで、自治体に路盤管理を負担してもらうかバス転換にするかと言う問題に直面している。鉄道の果たす役割とは?われわれは鉄道に何を求めるべきか?交通はどうあるべきか?岩泉線、気仙沼線、大船渡線、山田線、三江線の例をもとに考えて行くことにしよう。
蒸気機関車<<夜行列車<<ローカル線<<空気感<<ヲタクと一般人<コズ☆シド編
北陸新幹線で旅はどう変わるか<<クルーズトレイン<<夜行バスに負担押し付けるJR<<クルーズトレイン<<
 
 
さとみ旅風さとみ サイト管理者。別名「風のように旅する男」。目的のない旅にこそ旅する意義があると言う考えを持っている。 高峰ともひろ ひとり旅のエキスパート。いかに無駄な努力のない旅を楽しめるか組み立てながら旅を楽しむ。冬はスキー三昧。 緑原みく 遠出はつきあい程度でもっぱら近場の小旅行が多い。興味はむしろ冬のスノーボードと言うことで快適な旅を求めている。
さとみ JR北海道が維持不可能な路線を発表した。約半分以上が維持不可能と言う。なぜこのようなことになってしまったのか?どう対策するか、議論して行きます。

JR発足の時にこう言った事態を予測していたのかどうか。北海道を旅してみると、本当に大丈夫なのだろうかと思えるような状態が多い。
みく 北海道はスノボで行ったけど、道内のバス路線が整っていてツアーもバスで移動する事が多いみたいよね。ともひろがよくスキーに行ってたときはどうだった?
ともひろ ちょうど、バスに対抗する形で、札幌から各スキー場の最寄り駅までリゾート列車走らせて駅からはバスでゲレンデまで行って1日券付きだった。リゾート気分を楽しみながらのアクセスだったね。あのころはバブルの余韻が残っていて東京を中心にスキーブームだったから結構利用は多かったよ。ただ、景気の悪化やスキー離れでだんだん下火になって行ったね。
さとみ 「Whireforest」開設前ぐらいかな?そのころはゲレンデへ列車でのアクセスがまだ便利だったし、利用価値もあったしね。ただ、スキーやスノボ行く人が分散して列車でのアクセスが非効率になってきた面もあるし、夜行列車が廃止されたのも大きい。

北海道は特に厳寒地と言うこともあって設備維持はかなりしんどいようだ。
みく まぁ、最近のバスツアーは日帰りプランやレンタル付きとかあるしね。道具にこだわらなければ手ぶらで行ってレンタルで済ませる手もあるしね。ジャム勝はバートンのモデル揃えてるし、レンタル自体もレベルが上がってきてるね。道具持って行くなら列車の方が便利かもね。
ともひろ そもそもJR東日本は被災して不通になった岩泉線を放置してそのまま廃線にしたし、気仙沼線にしても大船渡線にしても鉄道での復旧をやめたし、山田線も三陸鉄道に丸投げしている。公共性が高いのに利益を追求して地域を切り捨てている。儲かりさえすればいいでは無責任ではないだろうか。

鉄道が廃止されると、高齢者が移動手段を奪われる。そうなると自動車免許を手放さなくなる。最近高齢者の事故が異常に増加している感じがするけど、あえてそのような報道するよう持っていくほど、状況は深刻なんだ。
さとみ たしかにJR東日本のやり方は無責任だと思う。利益を多く出しているんだから、地域の足は守らなければならない。ただ、経営に支障を来す場合は維持すべきかどうか地元と徹底的に話し合う必要がある。

 そう言う意味では三江線廃止の問題は鉄道がどうあるべきかに一石を投じたと思う。三江線だって災害でダメージを受けて数ヶ月運休の憂き目にあったものの、現在は全線運行されている。ただ、災害が多いため、復旧費用もバカにならない。
みく ともひろは夏のぶら旅に三江線の旅を入れてるね。川下りの醍醐味がありそうだけど。

 そう言った自然を感じられる路線がなくなってしまうのは寂しい気がするね。
ともひろ 広島と浜田の間を行き来する客にゆっくり旅を楽しんでもらうよう、直通列車をリゾート仕様で走らせるとかなにかアイデアはなかったのかな。木次線の奥出雲おろち号は人気だけどね。越美北線もいろいろアイデア出してるみたいだしね。それに比べて三江線は江津駅に山陰線の列車で見ると列車が止まっていない寂しい状態。

 客を呼ぶ仕掛けがなければ衰退して行くのはたしかで、特に地方は人口が減少しているから通勤通学客だけでは立ち行かなくなると思うけどな。
さとみ 地元自治体と活性化策をいろいろ出して議論したそうだけど、人口減少よりもはるかに早いペースで客離れが進んでいるようだ。木次線は雲南市と神話の里、越美北線は大野市とテラル高原など都市と観光資源があるけど、三江線は沿線に都市がなくしかも限界集落みたいになっている所が多い。しかも、行動の多様化で鉄道で移動するパターンがなくなってきている。それゆえ鉄道輸送に向いていないとまで言われる状態になっている。

 鉄路を維持するより、コミュニティバスを走らせて地域各地を結んだ方が得策と言うことになったのかな?もう一度、三江線を旅して実態を見てみる必要もあるな。

 本州ですら、鉄道輸送として成り立って行かない状況が出てくると言うことは、北海道や四国がどんな状態かは想像がつく。JR北海道は札幌に人口が集中して地域間の行き来がなくなりつつあるんで都市間輸送しか持ちこたえられないと言うのも理解できる。関西・山陰・山陽や九州のような複数の経済圏があるわけではない。そこが北海道やJR北海道の置かれた根本的な問題なのかも知れない。
ともひろ JR東日本や東海を基準にして考えてるのかも知れないね。それだと、儲かってるんだから路線を維持しろとなる。だけど、JRの経営状況の平均値はJR西日本とJR九州の経営状況だと思う。JR九州は黒字で株式上場も果たしたけど、鉄道事業はまだ赤字だそうだし、JR西日本も鉄道事業でかろうじて黒字を出している状態。そうなるとJR北海道やJR四国が立ち行かなくなるのは目に見えてるはずなんだけどな。鉄路を維持するためにどういう政策を立てるかが問題だよね。

 自助努力にまかせてると、ある日突然、鉄道がなくなり、移動の手段がなくなり、住民が流出して街や村が衰退して行く。そしてひとつふたつと村が消えて行き、あちこちに廃墟が現れると言う状態になるんじゃないかな。
さとみ 鉄道は大量輸送に向いている。これは鉄道の特性とも言える。だから大都市部では鉄道はなくてはならない輸送手段だし、その便利さが都会に人が集まる理由でもある。人が移動しなければ、鉄道の存在意義はなくなる。その時、移動手段はどうするのか?今、真剣に考える必要がある。

 例えば、駅は残しておいてホームからバリアフリーで乗車できるバスを運行すれば鉄道でなくても列車並みの便利さは提供できるわけだし、バス停にプラットホームや人の集まる施設を作っておけばバス転換しても鉄道並みの便利さを実感できるわけだし…何がなんでも鉄道と考えるより、鉄道の便利さを再現しながら少量輸送を考える時期に来ているのかも知れない。

 鉄道のローカル線は消え行く運命なのかも知れない。だけど、いつまでも駅に行けば移動するための交通手段があると言うことは、たとえ鉄路がなくなってバスが来たとしても交通手段は今まで通りあるわけだし、鉄道が築き上げたコミュニティを守り続けることが大切じゃないかな。

 鉄道の廃止で地域が大ダメージを受けるのは、鉄道が供給してくれた駅を中心に人・物が動くと言うサイクルが破壊されてしまうからかも。それなら鉄道が供給してくれた物を守り続けて行けば、鉄道がなくなっても地域のダメージは少ないと思う。

 来年4月には三江線は廃線となる。その時、駅に行けば必ず交通手段があると言う状況を作り出せるかが地域の衰退を防ぐヒントになる。駅と輸送ルートさえあれば運行できるような新しい交通システムを考え出す必要があるのかも。

 バス転換で一番不便になるのは駅から出てバスに乗り換えなければならないとか、標識しかないバス停など鉄道の便利さがなくなるからかもしれない。列車のホームから直接バスに乗車できたり、電車の乗るようにバスに乗れたり…そう言った工夫があれば不便さが少しは解消されるのではないだろうか。

 鉄道を存続させるか廃止するかではなく、輸送手段をいかに確保するかが問われているのではないだろうか。それをなおざりにすれば、農村は荒廃して行く。
 
 

=ローカル線の廃線=

土砂災害により廃線〜岩泉線

岩泉町内で起きた土砂災害で、岩泉線が不通となり、その後廃止された。

土砂災害により廃線〜高千穂鉄道

台風による洪水・土砂災害により不通になった高千穂鉄道が復旧を断念し、廃線。


津波被害によりBRTに〜気仙沼線

東日本大震災による津波のため、柳津〜気仙沼間が不通。JRはBRTによる仮復旧のあとBRT転換を提示。現在BRTとして運行。


津波被害によりBRTに〜大船渡線

東日本大震災による津波のため、気仙沼〜盛(大船渡市)間が不通。JRはBRTによる仮復旧のあとBRT転換を提示。現在BRTとして運行。

津波被害により不通〜山田線

東日本大震災による津波のため、釜石〜宮古間が不通。JRはBRT転換を提示。地元の反発のため、三陸鉄道へ移管する案が示されたが決定まで時間を要し、現在も不通のまま。

鉄道輸送に不向きとされ廃線〜三江線

2度に渡る洪水により不通となる。現在は全線運行中。利用客の減少に歯止めがかからず、また、水害による被災の可能性が増加したため、2018年4月に廃止することが決定。

JR北海道

維持費の節減が行き過ぎたため、度重なる事故により、国土交通省から改善命令を受ける。経営悪化のため、路線維持が不可能となり、沿線自治体に対し、路盤管理を持つか廃線かの提示。半分近くの路線が存亡の危機に立たされている。