非オタ系汽車旅研究所
Vol.11 ローカル線と地方のあり方
 
 新型コロナ堝によってJR本州三社も赤字転落となってしまった。苦境にあえぐJR北海道やJR四国だけでなくJR本州三社もローカル線の見直しを余儀なくされている。路線維持ができるかどうかだが、もはや鉄道輸送の体を成していない線区もある。鉄道が必要かどうか?また代替手段はどうするのか?特にローカル線の多い地域について考えて行くことにしよう。
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さとみ旅風さとみ サイト管理者。別名「風のように旅する男」。目的のない旅にこそ旅する意義があると言う考えを持っている。 高峰ともひろ ひとり旅のエキスパート。いかに無駄な努力のない旅を楽しめるか組み立てながら旅を楽しむ。冬はスキー三昧。 緑原みく 遠出はつきあい程度でもっぱら近場の小旅行が多い。興味はむしろ冬のスノーボードと言うことで快適な旅を求めている。
さとみ 新型コロナウイルス感染症の影響で、JR各社は赤字転落と厳しい状況になっている。それに伴って赤字ローカル線の扱いが議論されている。ただ、JR西日本やJR九州はこの問題について地元と協議するなど危機感を持っていた。

ローカル線は役目を終えたのか?新たな交通手段は?地域にとっても鉄道会社にとっても従来の発想から転換した発想が必要とされる。
みく 確かにローカル線の列車はどこか古びてスピードも出ないし、車で移動しても早く着くから地元ではあまり利用されないように思える。観光客を呼び込んでいる線区は、おもてなしやサービスを向上させようと言う気概が感じられるけど、そうでないところはそっけない。
ともひろ 中国山地のローカル線は新型車両に置き換えられているよ。ただ、人の流れが変わり、人口も減少するから苦しいところもあると思う。中国地方は全体的に国鉄時代の列車が多いから鉄道オタクにとってはいいんだけど、地元民がどう考えているかだな。新型車両が投入される方が便利になったと言うイメージを強いと思う。
さとみ JR西日本やJR九州は快適に移動するサービスを充実させ、現在の立ち位置を維持している。ただ、日常利用となるとフリークエンシーサービスや速さは必要。起点から最短・最安で行くにはどうすればいいかを考える。観光地まで鉄道が通っていても、利便性がいいとは言えない。インバウンド需要がない地域はそもそも鉄道として維持できない状態なのかも知れない。
みく 例えば、萩に行く時に新幹線で新山口に行ったとして、そこから益田まで行ってそこから萩まで行く、また新幹線で厚狭まで行って美祢線で長門市、そこから萩まで行く…結構時間かかるし本数少ないんだよね。新山口からは高速バス「スーパーはぎ」も運行されているし。山口県は特にバス路線が充実していて本線以外の鉄道ははたして必要なのかと思うね。
ともひろ ルートが変わってしまったのかも知れない。それにたいしてどう対処するか、が問われている。かつてのムーンライト号やシュプール号のような鉄道が有利な状況で夜行列車を走らせていた時期はローカル線と言えども列車通過路線ならそれなりの利用はあるわけだし。どれだけ通過利用する客がいるかも大切になってくる。
さとみ 阿佐海浜鉄道が、鉄道も道路も走れるDMV(デュアルモードビークル)を運行した。鉄道を延伸するのは困難だけど、鉄道のない地域にも走らせると言うのは画期的だと思う。鉄道としての役割が終えたローカル線はDMVとしてバス路線が乗り入れる、バス路線に乗り入れると言った柔軟な運用が必要ではないかと思う。鉄道にこだわる必要はないけれど、鉄道が果たして来たものを生かす工夫は必要だと思う。

 鉄道がバス転換されて、地域が衰退するのは、例えばそれまで駅があり路線がわかりやすかったのが、駅もないし路線もわからないと言うことで結局車で移動し、バス路線も持たなくなってしまう。JR西日本やJR九州は主要駅を商業施設に変えている。それは人が集まり、地域が活性化する仕掛けとして行なうわけで、ローカル線の地域も駅に人を集めるようにすれば、変わるのではないだろうか。
みく 大田市駅にはなにもない。駅からは慣れているところにAIONモールとかある。車で動くこと前提でショッピングモール作ってるのね。

 それじゃぁ駅前は活性化しないよね。
ともひろ 大田市駅は石見銀山への入り口になっているけど、石見銀山自体が観光客が減ってきている。交通の便が悪いと、次第に客離れが起きてくる。ここも、大田市駅構内にバス発着場を作り、石見銀山から美郷町を通り抜け邑南町まで走るDMVでもあれば…粕淵から口羽までは鉄道を走って…そうすれば列車で訪れる人にとって垣根が低くなるのではと思う。江の川鐵道もできたし。

 鉄道は思い立った時に行動できるのが最大の特徴。ツアーだといろいろ制約がある。だから列車で自由に旅するんだ。次どこ行こか…、そう考えながらあちこち巡るのが旅の楽しみだ。
さとみ このサイトは、あくまで鉄道を利用してひとりの気まま旅をすることを前提に組んでいる。ただ、代替手段があれば積極的に利用すればいいと言うコンセプト。自分の責任において行動する限りはどこへ行こうがなにしようが自由。あくまで自分で企画し、自分で行動し、自分ですべて責任を持つ、自己責任によってその旅は成り立っているんだ。

 利用しないのに残せは勝手な言い分。旅する人にとって必要かどうかが問われている。

 ローカル線は利用状況や環境に応じてDMVやBRTなどに転換するのもいいと思う。鉄道として維持できないならBRTに転換して鉄道を走るDMVを走らせるなど柔軟に対処すべきじゃないかな。
ともひろ 列車で行く旅は、路線や駅がはっきりしているからゆえの安心感がある。だけど、バスの場合は乗り場がどこにあるかわからないことが多い。そうすると観光客は路線廃止になった地域を訪れない。ただ、地方は車社会で都会のように電車で自在に移動できるわけでもない。自在に移動するなら車でとなる。旅する人は車運転する気がないから、鉄道が廃止されるとその場所はなかったことになる。
さとみ 鉄道の良さを生かした方策が必要だと思う。そう考えると、JR日田彦山線の一部がBRTになり、ちゃんと駅舎も用意されているのはバス転換のデメリットを解消する策として注目できる。

 BRTのメリットは一般道も運行できると言うこと。鉄道がカバーできない地域にも乗り入れられる。ただ、バスだと時間がかかる。ローカル線の場合、バスが高速道路を走るぐらいのスピードであぜ道みたいなところを走れると言うこと。バスで時間がかかるところは鉄道を、バスで事足りるところはバスで行くのがいちばんいい。そうするとDMVが鉄道路線で高速運転できれば鉄道・バスのいいとこ取りができると思う。利用者2000人以下の路線は列車・DMV共用の路線とするよう法改正が必要かも知れない。

 鉄道は地域のステータスなので利用しなくても残せとなるのだが、利用価値のないものを維持することはできない。地方もそこのとこ悪露は考えなければならない。